クイックステップの歴史

現在のクイックステップのはじまりはフォックストロットでした。イギリスでダンス競技がはじまった当初はまだスロー・フォックストロットとクイックステップの区別はなく、フォックストロットというひとつのダンスでした。

それが二つのダンスに分かれていったのは一九二三年から一九二四年にかけてのこと。

一九二三年に渡米したあるアメリカのダンスバンドが、非常に速いテンポでフォックストロットの伴奏を行ったことでした。

翌一九二四年には「遅いフォックストロット」「速いフォックストロット」の差はますます表面化し、まったく異なる二種類のフォックストロットが踊られました。

一九二四年に、イギリスのダンス教師協会は、スローとクイックのふたつの種目に分けて独立させることを決定しました。

このように、フォックストロットが二分化する運命をたどった背景には、世界中の都市に起こったチャールストン・ブームがありました。

一九二〇年代、第一次大戦の終結とともにアメリカが市場もっとも享楽ムードに酔った時代、サウスカロライナ州のチャールストンという街で、黒人たちの間で踊られはじめたといわれています。

両ひざをつけたまま足を激しく外側に跳ね上げるのが特徴なチャールストンは、またたくまに浸透してゆき、さらに大西洋を越えてヨーロッパに渡りました。
ダンスバンドもまた、チャールストン用のテンポの速い曲を多く演奏し始めました。

チャールストンは競技用の種目にはならないかわりに、クイックステップという新種目を生み出しました。

ダンスの競技化はイギリスのダンス教師協会が数年がかりで考案したものでしたが、それがチャールストンという強烈なアメリカン・ブラックカルチャーの登場で、根本的に種目の変更を迫られたのは、一九二〇年代という時代を色濃く反映した出来事でした。

dance13.gif

■ TOP(社交ダンスの基礎知識!)   クイックステップの特徴